デベロッパーとゼネコンの違い

ゼネコンのメイン業務は、工事業務の請け負いです。ゼネコンの有名企業としては、鹿島建設や大林組、大成建設などが挙げられます。

計画を立案するのがデベロッパー、計画をもとに工事に取りかかるのがゼネコンというわけです。つまりデベロッパーがどこにどんな物件をどの規模で建設するか決め、それを請け負って工事するのがゼネコンというわけです。

とはいえ、工事のすべてをゼネコンがしているわけではありません。受注した仕事を下請け会社に発注し、工事完成までの管理をおこなっています。

計画やアイデアがないと、ゼネコンの仕事は始まりません。仕事を受ける順番としては、デベロッパーからゼネコンに流れていくイメージになります。

デベロッパーの仕事内容

用地を取得する
・マンションや商業施設を建設する土地を取得する
・どの土地を利用するかによって不動産価値は変動するので、用地取得は非常に重要

事業・開発計画を立てる
・企画開発部門がまちづくりのコンセプトや方向性を決定し、事業・開発計画を立てる
・自分の思い描いたまちをカタチにできる

施工管理をする
・建設はゼネコンに建設を委託することが多いが、デベロッパーが引き続き施工管理をする場合もある
・工事のスケジュールや予算など建設工事全体にかかわる重要な事項を管理する

事業価値を査定する
・売却価格、賃貸価格の算出
・マンションの価格やテナント出店料金の価格付けに利用されたり、ターゲット層を絞り込んだりするのに利用される

販売する
・開発した商材やコンセプトに合っている企業を選定し、営業活動を実施
・開発した商業施設に出展してくれるように各所に営業

管理をする
・不動産価値を保つために管理、メンテナンスを行う

デベロッパーに求められる資質

マネジメント力
プロジェクトごとにチームで動くディベロッパーでは、マネジメント力が必要です。大きな開発プロジェクトを成し遂げるために、業務を分担して複数のプロジェクトが同時並行で行われています。もし仮に納期が遅れると開発プロジェクト全体に迷惑をかけてしまいます。納期を管理するマネジメント力は欠かせません。

また納期だけではなく資金管理やタスク管理、役割分担、材料管理なども重要です。もしあなたがデベロッパーを受ける場合は、チームで働いた経験、そこでの役割、マネジメントした経験などをアピールすると効果的です。

リーダーシップ能力
上記のようにマネジメントしながらチームとプロジェクトを推進していくので、リーダーシップ能力も求められます。具体的にはチームをマネジメントし、タスクとTODO管理を徹底し、役割分担を決め、プロジェクトを前に推し進めることを指します。

企画や開発を担当するディベロッパーは、プロジェクトを主導する立場です。そのため、リーダーシップを発揮して、プロジェクトメンバーを取りまとめる役割が求められます。

小さくてもいいのでリーダーシップを発揮した経験を持っておくと効果的です。部活、サークル、バイト、イベントなどなんでもOKですので、プロジェクトのリーダーとして実施した経験を面接官に伝えましょう！

コミュニケーション能力
デベロッパーは多くの人と関係を築きながら、プロジェクトを進める必要があります。単純にセールスとしてのものを売るためのコミュニケーションだけではなく、土地の仕入れ業者やゼネコン、ハウジング、不動産販売会社、テナントを募集する際の出展企業など多くの関係者と関係を築く事が求められます。

コミュニケーション能力がある人は、明確かつ適切な情報を伝えることができます。 要件や予算、スケジュールなどを明確に説明し、関係者との意思疎通をきちんと図れる人材は、デベロッパーとして重宝されるでしょう。

デベロッパー大手６社の違い！

①三井不動産
三井不動産の基本情報（2022年時点）
従業員数：1,898人
平均年齢：40.4歳
平均勤続年数：11.1年
平均年間給与：1,273万円

三井不動産は、オフィスビルや商業施設の開発を行う総合デベロッパーです。六本木の東京ミッドタウンやららぽーとを含む豊洲の開発を手掛けています。

さらに、海外事業にも進出を始めており、アジアではタイやインドネシアを含む東南アジア諸国や中国を含む8カ国で事業を展開しています。成長が著しいアジア市場では、住宅分譲や商業施設の事業を中心に推進しています。

アジア以外では、アメリカ合衆国においても、ワシントンやロサンゼルスを含む8つの州で事業を展開しています。既に成熟したアメリカ市場においては、オフィスビルや賃貸住宅事業を中心に取り組んでいます。

近年、三井不動産はビルや商業施設の賃貸事業や住宅分譲事業を、三井不動産グループとして強化しています。

三井不動産では、OBOG訪問が実質的な選考過程となっていますので、業界や企業に関する徹底的な研究の後、OB訪問を行うことが推奨されます。また、三井不動産の文化である「挑戦」「変化への前向きな姿勢」「情熱」を意識することが大切です。

②飯田グループ
飯田グループの基本情報（2022年時点）
従業員数：111人
平均年齢：42.6歳
平均勤続年数：3.2年
平均年間給与：782万円

飯田グループは、2013年11月に飯田産業やアーネストワンなどの不動産関連の上場会社6社が経営統合して設立されたデベロッパーです。

設立から間もないにも関わらず、複数の上場企業の統合によって蓄積された専門知識を活用し、マンションや戸建て事業でトップクラスの売上を達成しました。

他のディベロッパーと比較して、住宅分譲事業への注力が特徴的です。

さらに、飯田グループは不動産仲介事業や木材加工事業など、多岐にわたる事業を手掛けています。グループが幅広い事業を展開しているため、具体的な希望がある学生は、希望のプロジェクトに携われる機会が限られる可能性があることに注意が必要です。

また、平均勤続年数が3.2年と短いのは、2013年の設立以来、比較的歴史の浅い企業であることが影響しています。

③三菱地所
三菱地所の基本情報（2022年時点）
従業員数：1,053人
平均年齢：42.8か月
平均勤続年数：17年4か月
平均年間給与：1,264万円

三菱地所は、オフィスビルやリゾート施設の開発を手掛ける総合ディベロッパーです。

この企業は、東京駅周辺の象徴的な丸ビルの開発や、ビジネス街として知られる丸の内エリアの再開発を成功させました。リゾート事業にも力を入れており、全国に点在する10か所以上のロイヤルパークホテルやゴルフ場の建設を行っています。

2018年度からは、空港運営事業にも参入しました。高松空港や宮古島の下地島空港を含む国内10の空港運営を通じて、地域社会の価値向上に貢献しています。

海外展開においても、三井不動産と同じく、アメリカやヨーロッパで不動産賃貸・開発事業を展開。アジアでは、タイやフィリピン、マレーシアを含む10カ国と地域で、都市開発を中心とした不動産事業に力を入れています。

④住友不動産
住友不動産の基本情報（2022年時点）
従業員数：5,732人
平均年齢：43.2歳
平均勤続年数：8.39年
平均年間給与：667万円

住友不動産は、住友グループの広範な資源を活用することで、大規模なプロジェクトを手掛ける総合ディベロッパーです。

特に、東京都心の7区を中心に、230棟以上のオフィスビルを運営しており、高い交通利便性を備えたエリアで法人向けオフィスビルを供給しています。

この企業は、他のディベロッパーと比較して、分譲マンションや賃貸住宅といったリテール事業においても強みを持っています。主に首都圏や近畿圏の大都市エリアで、新築分譲マンション事業を積極的に展開しています。

さらに、新築戸建住宅や宅地分譲事業も行っており、総合ディベロッパーとしてのデザイン力と技術力を生かし、美しい街並みの開発にも取り組んでいます。

⑤東急不動産
東急不動産の基本情報（2022年時点）
従業員数：87人
平均年齢：43.4歳
平均勤続年数：15.6年
平均年間給与：1,057万円

東急不動産は、商業施設や都市開発を手掛ける総合ディベロッパーとして活動しています。この企業は、渋谷を中心にした青山や表参道などを含む広域渋谷圏でのまちづくりに力を入れています。

渋谷駅周辺では、100年に1度とも言われる大規模な再開発プロジェクトを進行中であり、新たなオフィスビルや商業施設の竣工が計画されています。このように、数十年から数百年に一度の機会に挑むことが、ディベロッパーとしての大きな魅力の一つです。

さらに、東急プラザやキューズモール、キュープラザといった商業施設を、東京や神奈川を含む首都圏、そして大阪や兵庫を含む近畿圏で運営しています。これらの活動を通じて、東急不動産は地域社会の発展に貢献し、人々の生活に新しい価値を提供し続けています。

⑥野村不動産
野村不動産の基本情報（2022年時点）
従業員数：283人
平均年齢：42歳
平均勤続年数：13.9年
平均年間給与：1,017万円

野村不動産は、住宅事業とオフィスビル開発を中心に活動する総合ディベロッパーです。

同社の住宅やマンション事業は、「製販管一貫体制」という総合力を活かしたアプローチが特徴で、用地取得から販売、管理まで一貫して手掛けています。この強みを基に、リテール業務にも力を入れています。

さらに、野村不動産は新たな街づくりのプロジェクト「芝浦プロジェクト」に取り組んでおり、2030年の完成を目指しています。このプロジェクトでは、東京の浜松町駅周辺に商業施設、ラグジュアリーホテル、オフィススペース、レジデンスを含むツインタワーの建設が進行中です。

このような大規模プロジェクトを通じて、新たな東京湾岸の象徴となるビルの開発に携わることが可能です。

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