帰国子女大学受験ノウハウ
帰国子女受験を具体的な例を挙げて解説!

(1)帰国子女入試の特徴を知りたい
帰国子女入試の主な特徴は
①受験時期は通年
②受験科目は統一テスト(SAT・TOEFL)中心
③一般入試に比べて多くの場合合格しやすい
の3つです。
①については、一般入試が秋から冬に出願、1~3月に試験が集中しているのに対し、帰国子女入試では4月に出願するICUや5月に出願する上智大学国際教養学部、6月の筑波大学などから始まり、8月出願の早・慶・上智から3月合格発表の東大・京大を初めとする多くの国立大学まで、ほぼ1年中受験期間であるといえます。
②については、帰国子女入試では欧米大学の入試と同様SAT・TOEFLが合否を大きく左右します。特に、書類審査だけで合否の決まる(日本に帰国の必要がない) ICUや上智大学国際教養学部などでは、 統一テストの得点が合否の鍵を握っています。また、それ以外の大学でも一般に入試科目は小論文・英語・面接(理系ではこれに加えて数学・理科)と一般入試に比べ遥かに少なく、その分統一テストのウエイトが大きくなるといえます。
③については、②で説明した通り帰国子女枠では英語ができるだけで大きなアドバンテージとなります。それにより、一般入試より1ランク上の大学への合格も十分可能になるといえます。
(2)具体的な受験の流れを知りたい
以下、本コラムの読者の志望度が高いと思われる数校をピックアップして平成27年度入試を例にスケジュールや試験科目などを解説します。
※各大学によりスケジュール、内容等は異なります。また、今回取り上げた大学でも来年度以降試験内容等が変更になる場合があります。出願にあたっては、必ず各大学のホームページで最新の情報を確認するようにしてください。
【例1】東京大学 外国学校卒業学生特別選考
出願:11月11日まで
第1次選考:提出書類(修了教育機関の成績、統一試験の成績)
第2次選考:2月25、26日
面接:3月17日
合格発表:3月23日
主な出願書類:成績証明書・卒業(修了)証明書等、推薦書、本人のパスポート(写)、国家試験等の統一試験成績評価証明書(SAT,TOEFLなど各国の統一試験。任意)
試験内容:小論文(第1問は日本語で解答し,第2問は英語、ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、イタリア語、韓国朝鮮語、アラビア語からあらかじめ出願の際に届け出たもので解答)、外国語(文科のみ。英語、フランス語、ドイツ語、中国語から選択)、数学(理科のみ。数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、A、Bから出題)、理科(理科のみ。物理、化学、生物、地学から2科目)、面接(日本語、個人面接)
※外国語、数学、理科に関しては一般入試と同一の問題
まとめ:東大の場合、学力試験に関しては一般入試と同一の問題を受験することになります。文科の場合は外国語(英語など)のため帰国子女であれば受験対策のハードルは低いといえますが、理科の数学・理科に関しては海外の多くの国の高等教育レベルより難しい問題が出題されます。そのため、(特に理科志望者に関しては)日本の受験参考書などで東大入試対策を念入りに行う必要があります。また、合格発表が3月下旬と遅いので、「浪人覚悟で東大を目指す」などの理由がなければ併願校を多めに受験したほうがよさそうです。
【例2】慶應義塾大学 帰国生入学試験(文系学科)
出願:8月1日まで(Webエントリー、郵送出願の2つが必要)
第1次選考:書類選考
第2次選考:9月10日(経済学部の場合。学部により異なる)
合格発表:9月12日(経済学部の場合。学部により異なる)
主な出願書類:入学志願票、入学志願者調書、パスポートの写し、志望理由書、国家試験等の統一試験の試験成績評価証明書、高等学校 3 年間(4年間)の成績証明書、高等学校の卒業証明書または卒業見込証明書、外国の出身高等学校の校長または教員の推薦状
※統一試験:米国の場合SAT(Reasoning Test™, Subject Tests™ から 3 科目)、TOEFL
iBT (文学部、商学部のみ)
試験内容:小論文(学部ごとに異なる出題)、面接(学力・人物について)、論述試験(法学部のみ)
まとめ:先に挙げた東大の場合と比べ、(文系学部に関しては)学力試験が課されないこと、SATなどの統一試験が必須であることから、より海外大学の入試に近いものといえます。海外大学との併願を視野に入れている方も受験しやすいといえます。
【例3】筑波大学 帰国生徒特別入試(10月入学)
出願:6月12日まで
試験:7月19日
合格発表:7月30日
主な出願書類:志願票、推薦書、成績証明書、志望動機(一部学群・学類のみ)、国家試験等の統一試験成績評価証明書(SAT,TOEFLなど各国の統一試験。任意)
試験内容:小論文(日本語・外国語)、面接
まとめ:筑波大学の場合、統一試験が任意であること、理系の場合でも学力試験が課されないことから、東大や慶應に比べ受験対策の負担が少ないと言えます。また、入学時期が10月であることから、海外の高等教育機関を卒業してすぐに入学できるという事も魅力の一つです。